広角
あおば

          2007/05/09

彼処に
白い雲が一つ見えます
窓の外を指さして
所感を述べる
君は表現が正確だねと
ニコニコしながら
先生は相づちを打つが
求人に来た社長さんは
どう返事したものか
黙ってしまう
曖昧な顔を残し帰った

がらんとした部屋に
ひとり残された僕は
立ち上がる元気もなくなって
いつまでも机の前に座って
青空に白い雲
青空に黒い雲
青空に赤い雲
青空に黄の雲
青空に茶の雲
青空に金の雲
青空に紫の雲
青空に銀の雲

呟いてみたが
孤独の風に
吹き飛ばされたのか
雲ひとつ無い青空が
拡大して
視野の中に収まらない

広角レンズが欲しくなった




自由詩 広角 Copyright あおば 2007-05-09 19:57:44
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