右肩
あおば

          2007/05/09


ポイントはありません
小さいご不在連絡票が
黄色い髪の毛を立てて
吠えるように伝える
こだわりを捨てて
気密服を脱いで
カプセルに滑り込む
空になった気密服が
ロボットのように
辺りを監視する五月闇
古びたオート三輪車が
がさごそ がさごそ
ゴキブリを真似て
濁点を響かせる
曲がりくねった坂道が
くねくねと這いまわる
恐ろしい連想が
髪の毛を立てて
飛びかかってくるのを
右肩をひょいと下げて
やり過ごすと
悲鳴を上げて
階下のベランダに落下し
植木鉢やプランターを
粉砕する衝撃力に
驚いて立ちつくすままに
夜の時間は過ぎて
ポイントはありませんの
衝撃から身を守るお守り
ご不在連絡票が
黄色い髪の毛を立てて
吠えるように伝えて
こだわりを捨て
気密服を着け直し
真っ暗な道をがさごそ
がさごそ音を立てて
まるでゴキブリのように
這い回る想像力を喚起し
時代の回転を数えながら
少し右肩を下げてみる



自由詩 右肩 Copyright あおば 2007-05-09 06:28:34
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