佐々宝砂

まだぎらつきはしないけれど
充分に
強烈な熱を発散しはじめている
五月の太陽

日暮れがきて
それはすこしだけかげりはじめて
万緑は
急速に輝きを失ってゆく

気温が下がる
夜の虫が肌にまつわる
蝙蝠が飛ぶ

けれど椎の若葉だけは
あかるく映える
まだそこだけ昼のさなかであるように

(未完詩集「百緑譜」より。「雑木山」改題)


自由詩Copyright 佐々宝砂 2007-05-05 21:10:49
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