ふるる

気がつくと、渚が後ろにあった

最近やけに足が濡れるなと思っていた矢先のことだった
後ろなど滅多に振り返らないから気がつかなかったけれど
ふと振り向くと、後ろに渚があった
ひたひたと波の打ち寄せる、きれいな渚だった

クラスの皆は知っていて黙っていてくれたらしかった
後ろの席の子にごめんね、と言うと
「足が少し濡れるだけだから」と言ってくれた

駅で電車を待っていると
見知らぬ人が傍に来ていて、ほうっとため息をつく
きっと渚を見ていたんだろう

公園のベンチで休んでいると
若いお母さんが
「あの、子供を遊ばせていいですか?」と聞いてくる
幼い子は波をちゃぷちゃぷ言わせながら笑う

猫がじっと見ている時は
小魚が浅瀬まで来ている時だ

雪が降ると
雪は次々と渚に落ちては消え
「しみじみと良いですねえ・・・・」と
見知らぬお年寄りが声をかけてくる

渚を連れて世界中を旅する
それが今の夢

環境が破壊されたり汚染されたりのニュースを見ると
渚も汚れたり
干上がったり
押し寄せてきて飲み込んだりするんだろうかと思う

その時のことを考えると
さびしい




自由詩Copyright ふるる 2007-05-01 08:39:02
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
?不思議シリーズ?