ノート(指輪)
木立 悟
両手の指のひとつひとつに
小さくやわらかな輪が回り
手を振ると鳴り
息を吹くと鳴る
午後の雲を聴いていると
輪も静かに聴いている
降る言葉に触れ
少し揺れる
握ることができず
ひらいている
風がすぎ
輪は唱う
ねむりのうた
めざめのうた
目をこすると
輪は消えていた
うたのあとが
あたたかくにじむ
見えるものはいつも
うれしく悲しい
自由詩
ノート(指輪)
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木立 悟
2007-04-27 09:57:06
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