一九八四年
板谷みきょう
人嫌い激しく
人の多い事に閉口してしまう
どうして皆はたくさんの人の中で
それぞれ別々の会話をする事が出来るのだろう
・・・
僕に向かって夢がある様に人は言う
本当はとっくに消えてしまっているはずの
地球に届く星の光の様なものなんでしょう
ねぇ
ネオンに影薄い大空の星々達よ
・・・
雨上がりの夜更けに君は一人で帰って行く
小さな部屋で僕はちいさくうずくまっている
膝小僧に歯を立てて強くかんでみる
・・・
シンデレラとピーターパンが一緒になった昔話はない
・・・
It's an old bromide
・・・
太古の昔より繰り返されし波の打ち寄せは様々で
どれひとつとして同じものでは無い波打ち際で驚異を知る
・・・
何のために働くのか解らなくて満足出来る答えが見付からない
朝っぱらから地下街を胸を張ってしごく当然な表情で出勤していく
老若男女の心が見えない
・・・
今度又生まれてくるならば人間が良いと云う
業が深いと畜生に生まれ変わると云う
僕にしてみれば業が深過ぎる故に
人間にされてしまったとしか考えられず
業深き故に我ありの感強し
・・・
もしかすると私の人生の最大の失態は
己が遺伝子を持つ世代の後継者を
造り出してしまった事なのかも知れない
・・・
罪業感強く
知人に宛てた手紙にも死臭がまとわりつき心配させてしまった
不眠が続き困惑する
曰く
『不眠症の治療は眠る努力を捨てる事です。」
眠剤の服用が続く
・・・
三十路前地獄極楽行き先を決めてみる賭け楽しくもあり楽しくもなし
・・・
悲しみだけをかみしめないで不幸の数は皆等しくあると思うから