うず
九谷夏紀

じっとしていたら
こじれることはなかった
もしかしたら

どちらにしても
すべてを止める方法なんかない
あなたも
わたしも
渦巻く関係性のなかで生きている
予感や実感を
それぞれに見出だしたいって強く思っても
なにものにもすがれないから

わたし
一瞬
きずつくの

いつも
相対する感情をあなたに言いたくなる
「わかるよ」
「わからないよ」
「友達だよ」
「友達じゃないよ」
「もう離れるよ」
「もう離れたくないよ」
ねえ だからそばにいきたい

あなたとの
うず
いつまでも終わらないのかもしれない
他人も理屈も飲み込んでしまうちからは
どこからくるものかはわからなくても
ここちよくて
うずは中心へ向かう
たどりつける場所を知っているかのように

変わらないものがあったよ
動いたら
わたしが変わって
ずれてしまったあなたとの位置から
あたらしいあなたが見えた
変わらなさはもっと変わらなくなったから
ねえ よかったら
もうすこし
くりかえそう
おなじところをいつまでもめぐるようで
おなじじゃない
いつまでも拭えないものもあるけど
投げ捨てた分身は飼い慣らしてくれていいんだから

うずが消えないのなら溺れればいい

耳をすませて
うずの音を聞いていよう


自由詩 うず Copyright 九谷夏紀 2007-04-26 23:03:53
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