さくらんぼう泥棒
A-29

―お向かいのお母さんとお嬢ちゃんが僕の庭のさくらんぼうを盗むのですがそのひそひそとした犯行が可愛いのです―

もうちょっとしたらもっとおいしくなるのよ(ひそひそ)
あさってとりなさい(こそこそ)
あといっこだけ〜(かさこさ)

おじさんがそのさくらんぼうの苗木を植えたのはお嬢ちゃんが生まれた次の年の春でした。おじさんの計画では2007年の春にはさくらんぼうの枝の三分の一はお嬢ちゃんのお家へお邪魔していてすくなくとも二十個のさくらんぼうがお嬢ちゃんのお口に入る計算でした。成功〜。

おじさんはね世の中にはそんなさくらんぼうの木がもっといっぱいあるべきだと考えています。そしておじさんのようなタイプのおじさんにはそんなさくらんぼうの木をふやす責任があると感じています。

まだ黄色いじゃないすっぱいでしょ(ひそひそ)
あさってとりなさい(こそこそ)
あといっこだけ〜(かさこさ)

こないだお別れしたおばさんとの愛について今日もいろいろ考えながらおじさんはお嬢ちゃんの未来をおもしろおかしく空想しています。


自由詩 さくらんぼう泥棒 Copyright A-29 2007-04-26 09:33:55
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