独白1
相良ゆう


今日はとっても嫌な気持ちになりました
とっても理不尽なことに出会いました
心は傷ついて、体は緊張して

頭はネガティブに埋め尽くされて
感情は無視されました

でも私には、それがどんなものなのかわからなくて
言いようの無い不安にただただ身を縮めるだけでした

人に怒られると 私は泣きたくなります
怒られるのはあまり好きじゃない

でもその人が怒っている理由もわかるから
私は返す言葉も無く、ただ彼が感情を発散するのを受けとめます
そんなときはイエス・キリストを思い浮かべます
聖書の物語を鵜呑みにして 自分の世界に逃げ込みます

怒られながら私はその人のことを思います
どうかこの人の怒りが、憤りが、静かに終わりを告げますように、と

でも本当に怒っている人の迫力に圧倒されてしまって
余計なことを口走ってしまったりして
火に油をそそぐこともしばしばです

しまった、と思っても後の祭り
燃え盛る炎は近くにいる人も飲み込んで
火事場を広げてゆくのです

私は炎の真ん中で火元が燃え尽きて灰になるのを待ちます
なるべく言葉を選んで 空気を注がないようにします
「あなたは、はい、と、いいえ、とだけ言いなさい」
きっとこういうときのための言葉なのだと思います

一緒に燃え上がるようなことはしません
あんまり好きじゃないんです
もしかするとその方が早く収まるのかもしれないけれど
怒りや憤りが恨みや憎しみに変わってしまうのが怖い
人を恨むこと、憎むことほど 簡単なものは無いと
私は思い込んでいるんです

私は人の執着する心が怖い
囚われの心が怖い

でも私たちが生きるには
何かに囚われて 何かに執着して
何かを犠牲にして 何かを生み出すということしか
ないのかもしれない

自分はすごい我侭なのに人の我侭を許せないのは
きっと自然なことなんだと、最近は思うようになりました

だからこそ人間は 動物とは違って
不自然にもそれを許そうとするのだと 思うようになったのです
そんな自分でつくった矛盾に 苦しめられているのです


未詩・独白 独白1 Copyright 相良ゆう 2007-04-25 02:43:56
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