青磁の記憶
渡 ひろこ

遠い日の母の実家の飾り棚

なだらかな曲線で凛と立つ

重く押し黙る青磁の器


威厳と寛容をたもちながら

静かなまなざしを光らせていた


つるりとした青い光沢

ひんやりとした手触り

そっと頬を寄せると

芯から凍りそうな硬さだった





あれから何年たっただろうか

同じ手触りが甦っていた





それは祖父の亡き骸に触れた瞬間



あ・・・・



穏やかな顔で

すでに棺に収まった祖父は

陶器の人形となり横たわっていた




“あの世にいっても逢えるわけじゃないんだって・・・”




そう言ってかなわぬ夢と

さめざめ泣いていた祖母は

黄泉の国での再会は 果たせただろうか



























自由詩 青磁の記憶 Copyright 渡 ひろこ 2007-04-19 20:08:22
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