海釣
はらだまさる









想の
海の底
に釣り糸
を垂らす役者
と綾取りの上手な
科学者がコップに注ぐ夢を溢れさせ
光合成したての音楽家を燻製にして声のない詩人は
受話器の向こうで待ち侘びる娼婦が咥えたゴムみたいな労働を撒餌にして
うねる巨大なビロードで揺れる漁船から放たれた
一文字がどこまでも落ちてゆく



その先には
僅かな
殺意












自由詩 海釣 Copyright はらだまさる 2007-04-16 20:11:23
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