金属は湿っている
1486 106

その一言でダムは決壊した
思い出もキスも濁流に流された
親指は最後の決断に踏み切れず
携帯とにらめっこしたままだった

眠れない夜が蓄積すれば
ワガママは理性を押しのけてくる
脱水症状の瞳は何度も
光を遮ろうと努めたけど

朝が私の手を引っ張るから
死神の誘惑に打ち勝てたんだよ

涙で汚れた銀の指輪は
いつかは錆びてしまうから
別れの手紙と共にビンに詰めて
綺麗なままで海に流そう

明日太陽が西から昇るから
スキップで横断歩道を渡ろう


自由詩 金属は湿っている Copyright 1486 106 2007-04-08 13:55:50
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