白いカラス
ぽえむ君

カラスは春の雨に打たれて
やがて自分に襲いかかる
恐怖を感じとったのだろうか
カラスの体は白くなっていった
ずっと遠い空を見つめたまま
ほとんど動かない
自分の体の色が変わっていくのを
気づいているのだろうか
もはやその認識をしている余裕は
なさそうに見えた
何かに怯えているのだろうか
逃げ場所をも失っているかのようだった
雨はどんどん強くなってくる
黒かった羽は
すっかり洗い流されたかのように白く
水だ濡れたところは光沢を施していた
カラスは急に羽ばたき始めた
大きな翼を広げて雨雲の中へと
ほとんど一直線に潜っていった
カラスがいた場所を覗くと
真っ黒な水溜りができていた
底のない悲しみが残されているようだった


自由詩 白いカラス Copyright ぽえむ君 2007-04-08 09:57:57
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