大人≠進化論
三架月 眞名子

ねぇ

だれか教えて

大人ってなに?

大人の定義は?

どこまで歳をを重ねれば子供から抜け出して

どこまで成長すれば大人と認められるのか

きっとだれも答えられない

だって境界線は曖昧だ


昔、放課後学校の教室で

「大人になりたくないね」

と語り合った

でも心の底では

「早く大人になりたい」

と願ってた


大人になれば

こんなにブザマに

不用意に

簡単に

傷つかずにすむようになるって

転ばないですむって

そう信じてた

大人になることは

強くなることへの近道だと

朧気だけど強い期待を抱いていた


でも、歳を重ねて

いつまでも子供ではいられなくなってみると

大人がどれほど弱く

頼りなく

危うげな存在であるのか

まざまざと見せつけられた


父の怒りも

母の苦労も

祖父の孤独も

祖母の苦痛も

あまりに生々しくて

目を背けてみても

すべて脳裏に焼き付いて離れなかった




大人は強くなんかなかった




悲しいほど脆弱で

でも同時に

強くあることを要求される位置に立たされていた

背中を見る者たちのために



それが大人であること?

そうあることが大人の定義?

そこが子供との決定的な境界線?



それは悲しすぎはしないだろうか

自分の意思ではなく

求められて強さを纏う

そんなの救いがなさすぎる

そんなの希望が薄すぎる

それは進化じゃなくて退化なんじゃない?





さて

最後にもう一度問おうかな



ねぇ

大人ってなに?


自由詩 大人≠進化論 Copyright 三架月 眞名子 2007-04-07 22:20:25
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