四月の綺麗事
れつら


四月の一日から友人夫婦の修羅場に呼び出され
よくわからないままに俺も怒鳴ったり泣いたりして
俺なんてなんの関係もないのにね

かえりみちで
ずいぶん簡単なことで幸せになってしまえるひとたちを
うらやましく思ったりした
今できることは せいぜい
煙草の吸いさしを草むらに放ったり
夕立に落ちた花をふんづけたり
そんなもん

コンビニにはビールがあって
自販機にはジュースがあって
でも煙草は売り切れで
ぺっかりと赤くともる文字
それがもしかしてなにか 幸せになるための注意書き
だったとして

うちに帰ったらお湯が出なかったので
春だからあたたかいものはそこらじゅうにあふれてる
蛇口から垂れる水はつめたい
でもぼくはそれよりもっとつめたい
なんちゃってで全部済ませたい
どこかにうつくしい、とてもうつくしいひとがいても
簡単な修辞で飾り立てたい
そしてぼくのことは終わりにしたい


きみたちがかってに生きていくのがいちばんいい



自由詩 四月の綺麗事 Copyright れつら 2007-04-02 05:01:55
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