さぼてん 
服部 剛

植木鉢に身をうずめ 
体中に
針の刺さった 
裸の人形 

れ上がる両腕のまま 
諸手もろてを上げて  
切り落とされた手首の先に咲く 
一輪の黄色い花 

すべての痛みを祝福するように 

ある夜 
花屋を訪れた 
寂しい人の両手は 
棚に置かれた 
リボンのついた植木鉢を 
包むように持ち上げ 
レジへ運んだ 

そうして 
裸の人形は 
寂しい人の部屋に住む 
たった一人の家族になった 

明日も 
来年の明日も 
再来年の明日も 

変わらずにやって来る 
陽だまり
の窓辺に置かれ 

植木鉢に身を埋め 
全身に針が刺さったまま 
腫れ上がった両腕を上げ
のっぺらぼうでわらう 
裸の人形 

寝ぼけまなこで 
布団から身を起こす 
寂しい人に 

黙って(おはよう)と言う 








自由詩 さぼてん  Copyright 服部 剛 2007-04-01 21:21:56
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