生乾きの服は、匂うニオイに追います
狩心

僕のお父さんは、僕のお母さんです。
僕とお父さんとお母さん、2人でボイストレーニングをしている今日この頃です。
三月は五月で、五月は六月ですから、八月に歌のコンクールがあります。
歌声に自信がない僕は、それをどうにか誤魔化そうとして、料理の腕を磨いています。
旦那様を迎え入れる準備は、既に取り繕っております。
明日はお見合いの日ですが、父と母の突然の命日の為、
初対面の男性と墓参りする予定となっております。
おそらくそこで、初潮と初夜を同時に迎え入れる事になると思われますが、
天気予報が100%当たる事なんて夢のまた夢です。
至急、連絡を頂けますでしょうか、兄上。
兄上の鬼嫁は武士でした。それも立派なリーゼントでした。
兄上の子供達がそれを受け継ぎ、私の子宮口に不時着する時は、まさに宇宙飛行士です。
宇宙飛行士も立派な武士の部類に属し、私の事を何度も「宇宙だかぁ!」と連呼します。
祖父母の叫び声が反響した穴蔵で、蜘蛛の巣と冬眠中の熊がでんぐり返しで格闘中です。
これも一種の無重力状態ですが、猿も木から落ちます。
歌声に自信がある私でも、時々、料理が上手い弟に助けてもらうのです。
ちょうど今、初対面の男性と墓参りデートをしている最中でございます。
頭の中はシャボン玉でいっぱいです。
弾けた命が儚さを予定しております。
いつかまた、三月は三月で、五月が五月に戻る日が来るのでしょうか。
今夜の私は乙女。
時間差攻撃で、ムーンライトアタックです。


自由詩 生乾きの服は、匂うニオイに追います Copyright 狩心 2007-03-30 11:11:36
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