別れの朝
はるこ


別れの朝はなんて適当で
あっさりマグカップなんか洗ってる
もう触らないでって言ったのに
角ばった手は真っ直ぐ頬に触れてた

寝不足な顔してる
あなたの眼はそう言っていて
心配そうな顔 もう別れるっていうのに
あの表情が好きだったけど

分かってるって顔をして
その癖あんまり捉えてなくて
いつか向き合ってくれるかなって
思ってて一緒にいたけど

眠れなかったのよ ちっとも
まさかって笑うかな でもほんと
あなたが明日出て行くのかと思うと
眠ることなんてできなかったよ

きれいな寝息をたてて
悩みなんかないですって感じで
寝顔もちょっとだけ見てた
涙は出なかったよ まだどこか信じられなくて

最近よく夢に見てた
あなたがこうやって出て行く場面
夢の中では懸命に止めて 困った顔ばっかりさせて
現実では見たくなくて だからなにも言えなかった


今までの思いなんて誤魔化して
あっさりマグカップなんか洗ってる
これ あなたがくれたものだけど
割ってしまっても良いかな

さっきまでそこでココアなんか飲んでた
まだあなたの気配が残ってる
まるでいつものような朝
どこか食い違った 朝

後悔してる
言い争えば良かったなって
汚くなれば良かったなって
まだ何も 言ってないから

あなたの胸に嫌なもの刻んで
忘れられなくしたかった
こんな風にきれいになんか
別れてあげようと思ってなかった

ねぇ痛い 頬が痛い
触らないでって言ったのに
あんなにやさしく触るから
忘れてた涙が ぽろぽろ落ちてくる

痛くてぽろぽろ落ちてくる


自由詩 別れの朝 Copyright はるこ 2007-03-26 00:54:59
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