狐つき
AB(なかほど)

このごろ
お腹がきゅっとなる
部長の顔とかじゃなくて
君のこと
ふと考えると
きゅうっとなる

腹薬


このごろ
の腹薬は赤とか黒の丸薬ではなくて
飲むと不思議と落ち着く
お医者様は
お酒と一緒に飲んじゃいけません
とだけ
で僕の想像を止めてくれない



あの日
5歳になったあの子は
コンといった
遠くの病院で
コンと鳴いた
お母さんも
コンと泣いた
まだ物心つかないあの子の妹は
僕が預かっていて
ちょうどその時は
僕のひざの上で
コンと笑ってた
風船を持ちながら
その笑顔は
お兄ちゃんそっくりだよ



今でも
ときおり
君の笑顔の中に
君の知らないお兄さんの幼い笑顔が浮かび
君が知らないことで
君のお母さんがコンと泣く
僕もコンと鳴く


さあ
おいで
僕はいつでも
心のこのへんのとこを開けて
待ってるよ




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自由詩 狐つき Copyright AB(なかほど) 2004-04-24 18:49:53
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