五時
たもつ

振り回せるものを探して歩く
軽すぎれば振り回す充実感がないし
重すぎれば肩や腰に負担がかかるから危ない
道路の上にも
道路に接するいろいろな敷地や排水路にも
振り回すのに丁度良いものは見つからない
長すぎれば人に当たるから危ないし
短すぎれば振り回す充実感がない
向こうから紐のついた玩具を振り回しながら
幼い男の子が走ってくる
丁度良いみたいにたくさん振り回してくる
振り回している、今、というこの日時は
他の誰に奪われることなく
簡単に忘れられてしまうのだろう
間もなくその靴にも日没が訪れる

(付記)
男の子が振り回していたのは
玩具とは別のものだったかもしれない


自由詩 五時 Copyright たもつ 2007-03-23 21:10:45
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