夏の日
ロリータ℃。


あの夏の日
あたしは石の階段を登ってた
小さな足で勇ましく。
ぎゅうっと詰まった石の間に
黄緑色の草が生えてて
踏まないように急いで登った

ひやりとした木の感触
あのときあたしは神社にもたれた
行き場のないような気持ちの中で
精一杯生きてるような気がしていたよ


あの夏の日
笑うママの顔に
泣いた痕は見当たらなくて
あたしはそれが嬉しくて
少しだけ哀しかった
取り残されたパパの気持ちを
あの時あたしは考えたりもしなかった
そうでもしなくちゃ
浄化は望めない気がしていたの


濃い影ができる
神社の下で
振り返れば辿った軌跡
哀れな人はもう此処にはいないのに
胸をよぎる不穏を隠せず少しだけ泣いた。


あの時より
あたしは強くなったのかな?
誰も愛せないような気がしていたけど
パパもママも愛せてる


あの日あたしは幼くて
間違ってばかりいたけど
届かず罰を与えた左手は
きちんとあなたと繋いでいるよ


あなたの瞳はあまりにも透明で
あの夏の日、濃い影の中にたたずんでた神社みたいよ
あたしはもう一度浄化されて

勇ましく、寂しい気持ちで
きちんと生きてゆくんだろう





自由詩 夏の日 Copyright ロリータ℃。 2007-03-21 23:33:40
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