倒れる
石瀬琳々

倒れる
水差しが
ふとしたはずみで指先に触れ
ゆっくりと音もなく
まるで夢のように


倒れる
デイジーの花弁はなびら
こぼれた水の上に散らばって
白い沈黙
切なさに似て


その花に心を寄せたばかりに
花は無残にも崩れ落ちた
指先でデイジーをつまんで唇に寄せる
黄の花粉が
哀しみのように染みついてはなれない


倒れる
どうしようもなく
ふとしたやさしさで指先が触れ
抗う術もないまま
まるで夢のように


あなたに心を寄せたばかりに
私は




自由詩 倒れる Copyright 石瀬琳々 2007-03-20 14:40:45
notebook Home 戻る  過去 未来