おっぱいよ
石田 圭太

なにかと鋭い恋人に
今日は特に死相が出ている
と言われたので
心配になって病院にいったら
思想だった
俺てっきり死ぬかと思った
良かった
とどのつまり
俺の頭ん中は
夢だとか希望だとかでコーティングされた
欲だとか傷だとかでいっぱいらしい
そして病名は
「それを書かずにはいられない病」
との事だった
詩人なんですね!
俺は!
と問うたのだけど
単にナイーブなだけらしい
今日は特に欲の部分が強く出ているらしく
おっぱいよ
大体お前の事だった
少しはみ出してしまったね
仕方のない事だと思う
だから書く


  おっぱいよ


  おっぱいよ
  俺はエロい
  しかしそれ以上にお前を愛してる
  俺は将来歌に逆らい
  母ちゃんのお前を独占する
  いつか俺が死んだとしても
  たちまち赤ちゃんに生まれ変わり
  お前を掴んで離さない

  俺は歌う
  魔法のカーブを離さない〜
  魔法のカーブを離さない〜

  こんな事を書くと
  恋人は怒るかも知れない
  あたしを見て!って
  胸ないし!って
  分かる
  恋人は胸がないし
  寂しがりやさんだ
  裸になると仰向けで寝たがらないし
  そのくせ瞳はみつめて欲しがる
  でも
  時々俺は思うんだ
  俺達は生まれるずっと前
  ひとつの命分け合って
  生きていたんじゃないかって
  だから別々に生まれた俺達は
  こんなにも不完全で
  こんなにも求め合ってしまうんだって 
  いう浜崎あゆみの新曲
  聴いたよ
  受け売りだ
  仲良くしようみんなで
  お前は愛の副産物だ
  感動的な隆起だ

  ってか
  今度生まれ変わったら
  また命分け合って生まれるのかなあ
  そしたら
  ばらばらじゃーん
  つぶつぶじゃーん

  俺は俺の唄を歌う
  魔法のカーブを離さない〜
  魔法のカーブを離さない〜
  俺は歌う
  唄を歌う叫ぶ
  叫ぶ

  おっぱいよりも君が好きだ!

  って!
  おい!
  あ!ほら今!
  見てるか!空!空!

  夕暮れがやってくるほんの手前
  その一瞬の世界の空は
  穏やかな肌色でお前みたいで
  俺は手と足をめいっぱいに伸ばして
  お前に届こうとしているよ

  ほら!
  ほーら!届け!
  
  みんな
  みんなみんなお前に包まれてる
  安心できる世界だろう


これを恋人に読ませたら褒められた
あはは
うふふ
えへへ
ちゅっ
んっ
がばっ
すっきりとした俺は天を仰いだ
するとやはり
世界の空は穏やかなおっぱいの色をしていて
世界のおっぱいは空を穏やかにしていて
窓辺には
暖かいおっぱい光が差し込んでいた
誰かの粒子かも知れない


自由詩 おっぱいよ Copyright 石田 圭太 2007-03-15 19:36:33縦
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