夕陽の詩人
ぽえむ君

晴れた日の夕暮れ
その詩人は必ず川原に現れた
夕陽を眺めては
気持ちを溶かし込みながら
一つの詩を生んでいった
ある時は静かに悲しく
ある時は力強い魂を
言葉を使いながら描いていった
人はみな
その詩人を夕陽の詩人と呼ぶようになった
どこに住んでいるのかは誰も知らない
毎日のようにいることでよかった

ある年の春先だった
夕陽の詩人は現れなかった
その日だけではない
次の日もその次の日も姿が見えなくなった
引越しをしたのだと
病気で入院したのだと
いろいろな噂がたったけれど
真相はわからなかった

少し寂しい気持ちで
川原に向かって立っていると
風からの便りが聞こえた
夕陽の詩人は夕陽になったのだと
空一面に広がる薄く赤い夕陽は
完成された一つの詩だった


自由詩 夕陽の詩人 Copyright ぽえむ君 2007-03-13 20:53:44
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