「 頂の猿 」 
服部 剛

ひとりの少年が 
壁をつたうパイプの上を 
猿の手つきでのぼってる 

壁の頂で少年は 
( 見ざる・言わざる・聞かざる ) 
のおどけたそぶり 

次の瞬間 
頂から 
両腕ひろげて飛び降りた 

人のゆけないところへ 
いともたやすくのぼり 
音もなく着地して 
走り去った少年よ 

日々のこんがらがった糸に
頭をかかえる私は 
どうすれば
君の身軽さになれるか 





自由詩 「 頂の猿 」  Copyright 服部 剛 2007-03-13 20:16:29
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