見えない鏡
ぽえむ君

その鏡を見ても
その鏡は何も映さなかった
鏡から離れて
鏡が見えなくなるとき
その鏡は映したものを見せるという
しかもそれは映した過去ではなく
今そのものを映し出す
鏡が映した姿を見たものは
まだ一人もいない
どこにあるのかも定かではない
誰もないひっそりとした森の中とも
夏のわずかな間だけ水を見せる湖面の中とも
人の心の中にあるとも言われている
この世界にまだ生まれてこないものまで
映し出せるのかもしれない
その鏡を見ても
その鏡は何も映し出さないが
今日もどこかで
全てを映し出している


自由詩 見えない鏡 Copyright ぽえむ君 2007-03-10 21:09:00
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