地下を飛ぶ鳥
ぽえむ君

ある日からだった
鳥たちがいっせいに地下を飛ぶようになった
空を捨てて森を捨てて
鳥たちは土の中へと潜っていった
地上には鳥の姿は見られなくなった
人間は鳥の居場所を探したが
かなり深くまで潜ってしまったらしく
見つからないままになっている
道路の上から鳥の頭だけが出てくることが
ごくまれに見ることができた
それを見たものは口を揃えて
鳥が悲しい目をしていたと語っていた
きっと鳥たちは
地下で自由に飛び回っているのだろう
暗い土の中で
小鳥たちは仲間とともに囀りあっているのだろう
地面に耳を当てると
かすかにその鳴き声を聞けることもあるらしい
鳥がいなくなった雲一つない大空は
今日も青く澄んでいた


自由詩 地下を飛ぶ鳥 Copyright ぽえむ君 2007-03-10 11:38:51
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