フィオレルロ・ボドニのやうに
閉ざされし部屋にて翔ばむ

赤き火星よ

　　　☆

異常巻き
アンモナイトぞ
精緻なる

整数よりも
無理数を選り

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泣き叫ぶ女の歌の
響きゐる

かの裏庭は永久に七月

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みづうみは記憶してゐる

約束を
稚き恋を
夏の一日（ひとひ）を

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土星には耳のありし日
火星には運河ありし日

懐かしき日々

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銀河より
幽かに響く和音あり

アンドロメダは
密かに応ふ

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我に潜む
イカロス・モンゴルフィエ・ライト

星の匂いがする石の
夜





（二十代最後の頃の作品です）