ある小夜曲
ふく

透き通った黒に、私は何の用意もしていませんでした
立春の冬はまだ夜にあり、凍えるには充分






それはそれは同じような線を辿り、胸まで達する程の
音は
この夜があまりにも深いので、音まで飲み込んだ様
涙は無くならないのね

とめどないからかしら

昼の優しい顔
夜は煌々と
白くて眩しすぎて、ごめんなさい

目の前の景色すら

涙が伝い落ちるのは
身体があるからなのね
私を、思い出させてくれるのね

曲が
曲が聞こえてくる





濡れた髪は涙の匂いがしました
凍える風は、知らぬふりでした






自由詩 ある小夜曲 Copyright ふく 2007-03-02 23:28:31
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