夕焼け空の紙飛行機
ぽえむ君

誰もいなくなった教室に
少年が忘れ物を取りに戻ってきた
いつもの教室は
いつもとは違う匂いがした
別に急いで帰らなくてもいいのだが
教室の中の空気を乱すのを恐れた
駆け足で自分の机に向かい
忘れていた宿題用のノートを
かばんの中にしまい込むと
少年は安心した
ふと気づけば
窓の外にはきれいな夕焼けが広がっていた
いつもの教室には
いつもとは違う世界があることを
少年は初めて知った
静かに移り変わる夕陽を
ぼんやりと眺めた
何を思ったのだろうか
少年は教室に余っていたプリントを手に持つと
紙飛行機を作り始めた
不器用に作られた翼は長くは飛ばなかった
一つ作っては窓から一つ飛ばした
何ら意味のない行為なのだが
少年にとってはとても大切なことのように思えた
赤い空に白い羽が交錯する


自由詩 夕焼け空の紙飛行機 Copyright ぽえむ君 2007-03-02 10:37:29
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