ほしおりの、そのときに
たりぽん(大理 奔)

白黒写真印画紙「月光」
GEKKO*1に浮かび上がる
曖昧な輝度信号
ほしおり はすぐそこに迫っていた
切り取られた夜空を
暗室の赤い光に積もらせ
あまりにも遠すぎて
おぼえきれない思い出を
つなぎとめる
細切れにして

恒星との別れは
突然ではないから
さびしい
地平がかすんでいると
なおつらくなる
だからレンズは
できるだけ天頂へと向けて
僕は涙をこらえるんだ

赤道儀は占い師のように
生まれも運命も探り当て
屈折鏡はみたいものだけを
うつくしく、きれいなだけ
焼き付ける
欲しい思い出だけ
つなぎ止めるように
切り取って

予言の通り
ほしおり がはじまる
時が止まっているようだ
君は星を見ている
とおいとおいひかりを見ている
僕は瞳をみる
君の目に映る、とおいとおい

だからレンズは
できるだけ
、僕は
涙をこらえる




*1 白黒写真印画紙「月光」



自由詩 ほしおりの、そのときに Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-02-28 23:08:44
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