祈り
アマル・シャタカ

あの人も去ってこの人も去って
行く道の知れぬこの先を
一人歩いてゆかねばならぬというのなら

悲しみにも嫉妬にも涙することはないのだろうか

ただ孤独ゆえの涙は透明で美しいといっても
それではあまりにも救いがたい美しさに満ちている

寂しさを紛らわせるための恋には後悔の色しか輝かず
だからといって愛の色も知らず

流した透明な涙の湖に
己の体を沈めてそして宇宙(そら)を見上げる

闇夜に輝く星達に願いをこめて流れ星
その輝きは過去の輝き

涙目を照らすのは月の光 
それは愛という名の

月を照らす姿見せぬ太陽にあなたを重ねて

湖畔にたたずむ壊れたピアノを愛執の風が弾き語り 
哀愁のさざ波でわたしを震わせる

闇夜が払われ星が消え月も消え 
流した涙の湖も乾いたその時に
現れるあなた 
それは日の輝きの

わたしの瞳に口づけて涙を優しく拭ってくれる

その日が来るまで
我が身を沈める透明な湖で 
漆黒に包まれた透明な湖で
あなたに捧げるこの詩(うた)を 
風のピアノにのせて歌うの 

そっと


自由詩 祈り Copyright アマル・シャタカ 2007-02-28 21:39:59
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