きみをひらく
はらだまさる







きみをひらくと
なかから ちいさなきみが
ぽろぽろと はだかのままで
たくさんの 砂金のようにこぼれて
たくさんのきみは 少しはずかしそうに
ひざをかかえてる


そうやって
ぼくはいつだって
きみのそうしょくを はぎとって
からだのぎょうかんと
こどうを 舌であるきながら
ちいさなきみを ゆっくりとなめて
とかしてゆく


そしていつもどおり
きみの呼吸をききわけ
むじかくに きみをころしてしまうから
(そんなことでだれかがしぬなんてかんがえもしないから
それくらいで きみがよのなかから
きえることはない、なんてことはない
ことを知る


きみは
いつもちいさくて
ひかりを弾きながら いきて
おおきな なみのくうはくに みずからのみこまれて
とおくへいこうとしてるんだね
ここよりもとおくへ、いまよりもとおくへと
ぼくのかたごしの けしきをみながら
くうそうしてる


きっとそのほうがいい、
ぼくはきみのあしかせか
然もなくば ころすことしかできないけれど
このうみの向こうには ゆめと
きみのしあわせが ねころんでいる
ぼくはぼくで あきることなく いきるために
きみをなめて とかしてしまうから
きみは とおくへいけばいい


たくさんの
ちいさな砂金のようなきみを ひらいて
ゆっくりと あじわい かみくだいて
ぼくは きみをかぜにとばす
きみを たいせつにしてくれる
だれかのこころに とどきますように
まぶたに とまりますように







このおおきな、
おおきなくうはくの 向こう
とおくへ









自由詩 きみをひらく Copyright はらだまさる 2007-02-28 16:33:13
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