花束
たもつ


僕は男だから
産む痛みを知らない
同じくらいに
産まない痛みを知らない
痛みなんて知らない
ここは戦地ではないから
僕はあなたではないから

幸せになる方法を知らない
幸せにする方法も知らない
だから何が不幸せなのかなんて知らない
詩を書けば許される
自分を責めれば許される
そんなことばかり覚え続けた
他に覚えなければいけないこともあったのに
知らない、という言葉を
覚えてしまった

小さな花束を買って帰る
その花束についていくつか話をした
僕はあなたに触り
あなたが僕に触る
本当は知ってる
触らなければいけないこと
触ってはいけないことも
知ってる
そのことでまた
僕は僕を許す



自由詩 花束 Copyright たもつ 2007-02-28 11:08:17
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