五反田行進曲
恋月 ぴの

確かにこの街にいた
お口を使って生きていた
わたしのねえちゃん

お口を使うお仕事

テレアポ
アナウンサー

明日の天気をお知らせします
晴れのち曇り
北風強く
ひゅうひゅうさぶいよ
マッチ一本火事の元

記憶の甘皮を引き剥がすように
この街にも
無常の北風吹き荒れて ああ

おとこがいれば
おんながいる

東京砂漠のこの街で
交叉するスル
ガリンペイロ達の飽くなき夢
そして
その夢の輪郭をなぞる
おんなの潮臭い指先

楽天地

ここはどこ?

だけど
ねえちゃんはこの街にいた
確かにいた


汚れても。穢れても
狭い個室の薄暗闇で自身を賭して
生きる逞しさ
つまり
おんなは強しってこと

お口を使うお仕事

テレアポ
アナウンサー

楽天地の明日は
生馬の目を抜くほどの
おんなの逞しさで
満ち満ちていることでしょう

いらっしゃいませ。喜んで
ご指名はいかが?




自由詩 五反田行進曲 Copyright 恋月 ぴの 2007-02-27 00:44:07
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