「天国の底」
和 路流(Nago Mitill)

手のひらを 空へ かざそう。
瞳を軽く交わしあい、
そして、僕たちは生きていこう。

いつの日か、何処からともなく集まっていた。
他人と自分の涙で、冷たく手を染めて巡り会って。
新たな自分が知ることを、互いに、認め。
そして、僕たちは再び生き始めるのだろう。
僕ら、この心臓が打ち始めた時は違うけれど
一緒に居れば、きっと必ず、鼓動が重なる瞬間が存在する。

罪を許してくれとは、互いに問わない。
ただ、誰もが悲しみを胸に抱えて
いつか、それを語り合えればいいと
ここから互いのために祈っている。
魂の熱を 分かち合おう。
この手は、誰かを支えるためにある。

「善」でも、「悪」でも
どちらでも構わないし、どちらである必要性もない。
ただ この手を差し伸べるから、力強く笑って。
そして、共に生きていこう。
自分が信じ、愛するもののために。
未来を共に夢見ることが許される、この天国の底で。

手のひらを 空へ かざそう。
瞳を軽く交わしあい、
そして、僕たちは生きていこう。

                                            (1997年・筆)


自由詩 「天国の底」 Copyright 和 路流(Nago Mitill) 2007-02-26 23:54:43
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