田舎の温泉
ぽえむ君

のどかな田舎道を歩いていると
温泉が昼寝をしていた
地面に寝そべって
いびきが山々の中を響かせる
その横をせっせと郵便ポストが走ってくる
汗がまぶしい
温泉は深い眠りの状態なのか
全く反応しない
郵便ポストは全身を真っ赤にして
温泉を睨んで通り過ぎていった
温泉は物音に無意識なまま寝返りをうった
煙が立ちのぼる
思わず飛び込みそうになりそうな
魔力を秘めた煙だった
服を脱ぎ捨てて裸の自分にさせる
そんな力が体中を駆け巡る
その欲望を必死で我慢しながら
都会の家に戻り
お風呂を沸かした
狭い浴槽だけれど
一番風呂に郵便ポストを入れてあげた


自由詩 田舎の温泉 Copyright ぽえむ君 2007-02-26 11:36:13
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