動物園に歌の雨が降る
たたたろろろろ



とりたちが入場ゲートを飛び去って動物園に歌の雨が降る




もの言わぬ悠々としたたたずまい有象無象も鼻がながーい


生まれつきおしりの赤いきみにでも青い春などあったのだろう



雨のなかキリンの首をへし折ってキスするくらいの気持ちを見せろ



木陰では追っかけっこがお勧めよ虎がバターに、いやチーズのが好き



この広い敷地でぼくらはぐれたら馬に蹴られて空で落ちあおう


首筋がいいんだ? あ、いまライオンが喉をならして、あ、猫のかおしてる


柵を跳びこえてぎゅぎゅうと詰めこまれ「ふみん「ふきゅー」と羊がないた



おおぐちを開けて雨粒たべている河馬河馬河馬河馬鹿にすんなよ


シマウマのそんな瞳で見つめられぼくらが檻のなかにいるよう




きみに手を振るためだけに人間になったのだ、とか(ゲートを背にして


 


短歌 動物園に歌の雨が降る Copyright たたたろろろろ 2007-02-23 02:18:34
notebook Home 戻る  過去 未来