色彩
はらだまさる


煙る午後に
まどろむ陽光が
研磨された鋏刃の隙間
さわさわと開放し行儀良く
沈静し少し乱雑に
定着する


鼓膜を突き抜け
仄暗い床板の軋みに
胡坐を掻いて青い影を落す
女の肉体の優雅さを
その熱力学とカオス理論を踏襲し
無闇に推量する愚骨さ


記憶の変拍子
並べ替えの効く未来と
孔雀石が鳴く声の螺旋構造を
沈黙の熱量で溶き解し
濡れた紙の呼吸に
耳を澄ます


薄碧に背伸びした皮膚に
ぱっと弾けた金箔と
オレンヂが滲む
不法滞在の感情に
侵食されてゆく
その眼差し


とても遠くで
寂しさが蹲っている
価値の錆び付いたドア
世襲に泥を塗り
西方の歓喜に
縁取られ


浮遊する
意識に包まれた
柔らかなこころに
深く突き刺さる
唯一無二の
美しさ


新しい芽
増殖をさせ
湧き出す原水が森を
そして花びらを形成する
色彩の美しさよ
その美しさよ





                       


自由詩 色彩 Copyright はらだまさる 2007-02-22 18:22:13
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