Queen of the town
んなこたーない
1
スタンドミラーの前に彼女は立っていた。
肩越しに覗くと、ブロンドの髪の少女と目が合った。
女装クラブの更衣室は、何故かG・K・チェスタトン「木曜の男」を思い出させた。
2
生牡蠣色。
吸盤。
粘着性の液体。
ブロンドの髪をかき上げて、ぼくは一言「まだ?」と訊ねる。
3
「SとFとそしてQ。
――Windy City、風の街、シカゴよ。
ぼくはここにいる。
ぼくはここで戦慄している」
「***の***は、***におけるトロツキズムである」
「聖家族の主人公、あるいはバースデイケーキのコンポジション」
「炸裂する中国製爆弾」
「炸裂する中国製爆弾のようなシンシナシティの亡霊」
思考はそこで急に途絶えて、ぼくは一言「もう?」と訊ねる。
自由詩
Queen of the town
Copyright
んなこたーない
2007-02-22 17:43:56