Night walkeR
三架月 眞名子

本当に一人になりたくて
孤独を肌に感じたくて
改札に向かう足取りをユーターンさせて
真夜中の街に身を投じた
携帯は川に投じた
そして
人のいない方へ
いない方へと・・・

繁華街を離れると
そこには

 湿った風
 冷たい雨
 埃の匂い
 煩い静寂

そういったものが
夜のヴェールに包まれてて
なんだか浮世離れしていた
自分が今どこにいるのか
一瞬どころか
永遠に分からなくなりそうだった

そんな浮遊感を纏いながら
ボクは歩く
道の先へ先へ
記憶の奥へ奥へ

 赤信号
 赤い涙
 車のヘッドライト
 誰かの泣き顔

そういった
ボクを取り巻く全てが
負の感情を逆撫でて
どうしようもない孤独が押し寄せる

そう
ボクが求めていたのは
求めて止まなかったのは
この感情
深い深い孤独


 このまま消えてしまおうかな?


洒落にならないあの歌を歌って
忘れた歌詞を少しずつ思い出しながら
もし最後まで歌い切れたら
それが真実になってしまいそうな
そんな不安定な空間

でも1フレーズが
どうしても思い出せなくて
思考をかき回して探してみたけど
実際かき回されたのは
膨れ上がる寂しさっだった事に
気づいたときはすでに遅く
パンクした心から
感情があふれ出すのを止める術はなかった


 世界が僕を取り残す


でも
時間だけはボクを見捨てずに
寄り添ってくれて
それが余計に
惨めさを浮き彫りにした
いっそ見捨ててくれればよかったのに
ボクがキミにしたように・・・


 キミ


急に
急にキミに会いたくなったけど
もう連絡する術はない
さっき壊してしまったから
でもそれでよかったんだろう
こんなボクの言葉では
またキミを
めちゃめちゃに壊してしまうから
壊した後に
優しく寄り添ってしまうから


 もう家に帰らなきゃ


そして
通り過ぎようとしたタクシーを捕まえて
浮世にあるボクの家へ
この世界に
徐々に帰ってくる
飛びすぎる街並みを眺めながら
タクシーの料金を気にしながら・・・


自由詩 Night walkeR Copyright 三架月 眞名子 2007-02-22 00:50:01
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