覗き
ポップこくご
朝の始まりは騒音、排気ガスに振動
片棒担ぎの分際で
一丁前に眉を寄せる
やれやれと天を仰ぐと
この喧騒を小馬鹿にしたように
すべてを包み込む静寂の青
今日は一片の雲さえお邪魔なようで
隠し事の置き場にも困る
吸い込まれるように空の一点を凝視してみると
遠く彼方の人工衛星から
僕のこの寄った眉間をとらえることができるかな なんて
ちょっと的外れな宇宙旅行をしたって
許してもらえそうな時間
僕の頭を傾ければ
目に入るのは送電線と鉄塔と名も知らぬ山
更にひねれば消えた街灯に古びた看板、そして小刻みにリズムを取る左足
僕を見つけた衛星は軽く傾げ
気分転換に温泉街の露天風呂でも眺めているだろうか
それとも南洋にビキニ姿のセレブリティーを追いかけているのかな
こんな時代なのだ
目測を誤らず
食うや食わずの人達や
生きるため殺す事を常とするような者達を
遠い空からなら
客観視できるのだろうか
同じ球体に立ちながら
目を背ける僕の代わりに
渋滞の中、都心へ向かう高速バスは一向に来る気配がない