覗き
ポップこくご

朝の始まりは騒音、排気ガスに振動

片棒担ぎの分際で

一丁前に眉を寄せる

やれやれと天を仰ぐと

この喧騒を小馬鹿にしたように

すべてを包み込む静寂の青

今日は一片の雲さえお邪魔なようで

隠し事の置き場にも困る


吸い込まれるように空の一点を凝視してみると

遠く彼方の人工衛星から

僕のこの寄った眉間をとらえることができるかな なんて

ちょっと的外れな宇宙旅行をしたって

許してもらえそうな時間


僕の頭を傾ければ

目に入るのは送電線と鉄塔と名も知らぬ山

更にひねれば消えた街灯に古びた看板、そして小刻みにリズムを取る左足

僕を見つけた衛星は軽く傾げ

気分転換に温泉街の露天風呂でも眺めているだろうか

それとも南洋にビキニ姿のセレブリティーを追いかけているのかな


こんな時代なのだ

目測を誤らず

食うや食わずの人達や

生きるため殺す事を常とするような者達を

遠い空からなら

客観視できるのだろうか

同じ球体に立ちながら

目を背ける僕の代わりに


渋滞の中、都心へ向かう高速バスは一向に来る気配がない


自由詩 覗き Copyright ポップこくご 2007-02-22 00:16:15
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