アウトサイダーな空間を
ひょいとのぞいたことから
サーバーを介するつながりをもつことになった

実際より１０才も若く
ふるまうカノジョは
サザンが好きなかわいく淋しい女性だった

年齢をこえて奔放に
バーチャルの海を泳ぐカノジョを
あきれながらも
どこか憎めずながめていた

何人もが通りすぎる
手さぐりの錯綜ステージを
甘やかさと茶目っ気で
みごとに演じてしまう

無機質な文字の交換のはずが
いつしかカノジョは
自らベールを脱いでいった

家庭内別居９年・・・

ワタシのまわりにはない言葉に
一瞬　人種の違いさえ感じた　が
次々と変わるアドレスに
すでにその片鱗はしめされていたのだ

カノジョの甘やかさは媚びに変わり
カラッとした茶目っ気は
ねっとりとした息づかいに変わってしまった

淋しさを埋める
バーチャルアフェアーに
しがみつくカノジョは
そのからみつく画面で
ワタシを駆け込み寺にしたてあげる

輪唱のように追いかけてくる
着信音に
だんだん侵されて
ゆっくり蝕まれていく気がした
同じ闇に引きずりこまれそうだった

伝染性のバーチャルアフェアーのウイルスかも・・・

最後の精一杯のつくり笑顔のメールを
ワタシは黙ってにぎりつぶした