水在らあらあ






妖精に満ちた部屋に
姫は住んでいる
王子を待っている
永遠に続く
冬の魔法が解かれるのを

ときどききらめくのは
姫の笑い声で満たされた
妖精たちの柔らかなお腹だ
やさしく頬をなでて
姫はまた笑う

冬の寒さの中で
姫は凍え 咲く
咲き乱れる姫を
一頭のシマウマが見ている

虹色の部屋の中で
姫にはそのシマウマが
おかしな影絵に見えるのか
姫は笑って
近づく


  ―茨の道を踏み越えてきたのに
   結局薔薇かよ…


薔薇色の唇にくちづける シマウマは
自分の縞を呪う
自分の模様に閉じ込められた
シマウマは姫の白さにやられて

やられて
やられちまって
シマウマは
姫の白さにやられて

おまえの魔法を解くことは
俺にはできないぜ
ただ一緒にいてやれる
ずっと一緒にいてやれる

灯がともって
お話は終わる
王子は来ない
魔法は解けない









自由詩Copyright 水在らあらあ 2007-02-16 12:02:57
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