裏切りの先にあるもの
三架月 眞名子

男ってサイテーだ


真夜中に深く深く憤る
裏切られて
それでも信じようとした彼女を
どうしてそうも簡単に裏切れるのか
二度にもわたって
もう信じれない
信じれない


心を決めてみたくせに
本当は変わらない愛を求めている
流れていかない添え星を探している
もう信じれない?
本当は信じたいくせに

そう
サイテーなのは男ではないんだ
サイテーなのは裏切りという行為そのもの
裏切りというものに
過剰反応してしまうのは私の癖
潔癖すぎるのだろうか?
裏切りなんて
世界には溢れているのに
ほんの些細なことを含めれば
自分だってやっているのに

そう
自分だってやってる
日々裏切ってる
欺いてる
産んでくれた両親を
側にいてくれる友人を
本当は解放されたい自分自身を
でも見ないフリをして
毎日吐き続けている
吐き続けている

そう
サイテーなのは
もちろん裏切りはサイテーなんだけれど
本当にサイテーなのは
裏切り続ける自分自身
だから
裏切りに過剰反応
潔癖でもなんでもないんだ
ただ後ろめたいだけなんだ

でもね
裏切るのにだって理由はある
裏切るのにだって経緯はある
裏切るのにだって良心の呵責はある
裏切るのにだって優しさもあるのかもしれない
自分を弁解?
もういい加減にしろよって?
闇を認めてしまえよって?

でもね
本当にあると思うんだもん
優しい裏切り
今日詳しい話を聞いて
確信したんだもん
彼女のことを想った上での彼の裏切り
本当は愛してるんだよね
結局は変わらない愛の結果
添え星であることを放棄して
流れ星になることを選ぼうとした
まるで童話のよう
残酷だけどとても美しいんだ


みんな複雑な感情を抱えてるんだ
守りたいものと
守るだけじゃ貫けないものの狭間でもがいてるんだ
その亀裂を裏切りと呼ぶんだ

今日それを知った
裏切りの先にあるものに
少し手が届きそうな気がした
実際に届く事は
永遠にないんだろうけど・・・


自由詩 裏切りの先にあるもの Copyright 三架月 眞名子 2007-02-15 21:48:41
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