きっかけ
まりも

はじめは とくに なにも とくに なにも 

着慣れないスーツの下で 固くなってた
少し乱暴な言葉遣い あまり話さない大人しい印象
あたしの周りにはいないタイプだな と思って 見てた



去年の秋 知り合ったけど とくに なにも 


一度 食事に誘われたけど 断ったから とくに なにも


「クリスマスの夜 空いてますよ」 と言われても
あたしはその時 空いてなかったので とくに なにも



それからしばらく たくさんのことが重なったので
忘れてしまった とくに なにも ないまま




年が明けて 大学の試験も始まって メールが届いた


デートのお誘い 


お料理とお酒を前にしながら 
ほとんど なにも 食べずに ずっと話した
将来のこと 家族のこと 面白かったこと 友達のこと


笑うとキレイに並んだ歯が零れて 目が細くなることと
グラスを持つ手が 印象に反して とてもきれいだったことと

新しい 発見を した




それから すこしづつ 何かが かわった



これからは
とくに なにも ないまま では 少し 寂しい


だから チョコを渡そうと思う


ありきたりの やり方だけど 
そういうこと いつもは 嫌う あたしだけど
一度くらい 町の空気に便乗しても いいかもしれない


初めての バレンタイン


自由詩 きっかけ Copyright まりも 2007-02-12 21:18:24
notebook Home 戻る  過去 未来