結婚指輪
砂木

結婚が決まって 指輪を買いにいった

おもちゃみたいなアクセサリーばかりの私
緊張して店員さんに 結婚指輪をと言うと
いろいろみせてくれた
自分の指のサイズも まともに知らなくて
次々に はめてみたりした

急に横で彼が
結婚指輪なんて しばられる気がしていやだ と言った

ぎょっとしたのは店員さんと私
決めかねている私に いらついたのか機嫌が悪い

じゃあ指輪なんていらないと
言ってしまいたい衝動にかられたが

喜んでた両親や 何よりも指輪が欲しかった私には
喉もとまでこみあげても言えずに

じゃあと 一番安い指輪を持ったが

それよりは こっちが似合うと
どこか愛想笑いを慌ててした彼が
指輪を決めた

記念日やイニシャルなどの彫りを頼んで
とりつくろうように店をでたが
当然 帰りの車の中で喧嘩になった
嫌なら最初からやめればいいじゃないか
悔しくて ひたすら惨めだった

しかし結婚してから
喧嘩して 指輪をはずして
投げつけたのは 私の方だった

くだらないけんか
でも何度となく
けど わかりやすい所に 
指輪を投げて
私は夫の いいなりになどならなかった

でも落ち着くと 自分で指輪をはめるのは嫌で
指をつきだしては 夫に はめさせた

あれはまだ 二十代の新婚の頃
二人でいて譲り合えない所ばかり
一緒にいるから 抑えきれなかった

そして 結婚指輪をずっとするようになって
軽い金属アレルギーだと気づいた私は
あまり 手が荒れると 指輪をはずして
今度はちゃんと しまっておくのだが

夫が指輪をはずしたのを みたことがない
はずしてもいいよ 私もはずすからというのだが
はずさないので悪い気がして
荒れがひけると また指輪をつける

しばられる気がする
確かに 

私の方が 鈍感だったのかもしれない


自由詩 結婚指輪 Copyright 砂木 2007-02-11 16:20:32
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