「 春待草。 」
PULL.







積もる話もあろうから雪が止むまで話そうか暖まろうか。





「きみからふって、
 ぼくからつもった。」
そんな雪の日だったね。
別れの日。


躊躇いがちに訊くのは未練からじゃない。
きっと、
そうじゃない。
「…幸せ。」



きみの探した春は結晶になって、
そこにある。
「指輪…似合ってる。」




ぼくが贈った結晶は春待たず熔けてしまった雪の結晶。



想い出話は雪化粧。
枯れ木の下はいつ芽吹く、
春待草よ。












           了。



短歌 「 春待草。 」 Copyright PULL. 2007-02-10 07:27:24
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