斜陽
水在らあらあ



?.

日が沈むぜ
ウォッカの氷に
日が沈むぜ
おまえの鎖骨に

観覧車に
モップ犬に
道行く人に
カモメの声に

書くしかない
書くしかないんだ
おれたちこんなに
夕日にやられて

抱き合うしかない
抱き合うしかない
それ以外に
それ以外に

どうするんだ
傾いている
恋でもない
愛情でもない

あるいは
自由
あるいは
宿命

もともと

ほとんど

裸だ

おれたち

日が沈むぜ
ウォッカの氷に
人差し指で
折れそうな
おまえの鎖骨に



?.

神様は
いじわる
そういっておまえはからだを
その小さく熱いからだを重ねる
重なりは幾重にもなって
俺達は落ちてゆく
落ちてゆく底を俺達は知っている
そこには常温のマグマしかない
溶ける
溶かされる
溶けて
もう一度はない
もう一度はないから
俺達は溶ける 恐れずに
溶ける おまえの胸を
俺は噛んで
くちづけは
幾重にも重なる
幾重にも幾重にも
この銀河の爆発に始まる叫びと一緒だ
確実な終わりに
果てしなく重なってゆく
螺旋を描いて
果てしなく重なってゆく
神様は
いじわる
そういっておまえは笑って
ああそうだねって俺は笑って
二人は
裸で




?.

日が沈むぜ
ウォッカの氷に
日が沈むぜ
おまえの鎖骨に

観覧車に
モップ犬に
道行く人の
青いコートに

みぞおちに
涙に
芝生に
船に

抱かれて
くしゃくしゃの
おまえの髪に

いじわるで
くしゃくしゃの
年老いて
まだ幼い
おまえの神に









自由詩 斜陽 Copyright 水在らあらあ 2007-02-07 03:25:42
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